大きくしたいか?思い通りにしたいか?

先日、前職時に取引先としてお世話になっていた方と会食をしました。その中で、組織には「30人前後で壁がある」という話題になりました。

 

創業~成長期にかけては、一緒に働いてくれる社員も経営者の理念や人となりに共感して動いてくれるメンバーが占めているケースがほとんどです。この時期は、ふと出たアイデアに対して、朝令暮改で号令をかけても、比較的柔軟に組織全体が軌道修正できやすい時期です。

 

しかし事業が順調に成長し、会社がいろいろなルートで知られ始めると、様々な人の価値観によって会社が評価されます。人事採用に対する応募者の価値観も同様で、このステージ辺りでは入社理由もかなり個の価値観や感性が強くでる応募者が増え始めます。

 

私は、この段階が先に記載した「30名の社員数」という印象を持っています。この規模になると、全社レベルの情報発信に対して、感度が高い/低い、自分事として考える/考えない、意図を知ろうとする/しない等、多様な反応が返ってきます。(もちろん社長の器量によってはこの人数は前後すると思います。)

 

より事業規模を大きくし、多くのユーザーにサービスや商品を提供したいのなら、この状況に対応し、社員に対してより多くの時間を使って意識のすり合わせを行っていかないと、組織は遅かれ早かれ多様な価値観のもと、いろいろな解釈が混在したカオスの状況を引き起こし、経営スピードやベクトルにも大きな影響を与える可能性が高くなります。

 

一方で、経営者がかなりのアイデアマンで自分の思う世界をいろんな形で実現したいのであれば、規模拡大を追わずに自分の目が届く範囲で組織規模をコントロールした方が、自身の時間の使い方をバランスよく保てます。複数企業のオーナーという形態でもよいのではないでしょうか。

 

どちらの戦略が良いということはありません。これも理念に照らし合わせて、経営者自身がどのようなことを実現したいのか、その部分を常に根底におくことで自ずから決まってくるでしょう。